2018年のエチオピアの政権交代:希望と不安の狭間で

 2018年のエチオピアの政権交代:希望と不安の狭間で

アフリカの角、エチオピアという国。古代 aksum 王朝の遺跡から、コーヒーの故郷として知られるこの国は、近年、劇的な変化を遂げています。2018年、長い間独裁政治を敷いてきた EPRDF(エチオピア人民革命民主戦線)が崩壊し、アビ・アフメド首相が就任しました。この政権交代は、エチオピアの歴史において、そしてアフリカの政治全体においても大きな転換点となりました。

変化の風:なぜ政権交代が起こったのか?

何十年にもわたる EPRDF の支配は、安定と経済成長をもたらした一方、人権侵害や政治的弾圧といった問題を抱えていました。2010年代に入ると、オロモ地方やアムハラ地方を中心に抗議運動が活発化し始めます。若者たちは雇用機会の不足、社会的不平等、政治参加の制限を訴え、政府に対する不満が高まっていきました。

この状況に追い打ちをかけたのが、2018年3月に EPRDF の党首であったメラク・ゼナウィ首相の突然の辞任でした。メラクは健康上の理由を表明しましたが、実際には国内の政治的圧力と、経済的な問題が重なり、指導力を失っていたことが背景にありました。

アビ・アフメド:希望の象徴か?

メラク首相の辞任後、 EPRDF からアビ・アフメドが首相に選出されました。アビはオロモ民族出身で、これまで EPRDF と対立してきた政治家でした。彼の就任は、多くのエチオピア国民にとって「変化」と「希望」の象徴となりました。

アビは即座に改革に着手し、政治囚を釈放し、メディアの自由化を進め、腐敗撲滅にも取り組む姿勢を示しました。さらに、隣国との緊張関係の緩和も進め、エリトリアとの平和協定締結には世界中から賞賛が集まりました。

しかし、アビの改革は必ずしも順風満帆ではありませんでした。 EPRDF 内部では改革に反対する勢力も存在し、エチオピア国内の民族対立も深刻化していました。特に、ティグレ州ではアビ政権に対する武装闘争が激化し、2020年11月には内戦に突入することになります。

内戦勃発:希望は暗雲に覆われるか?

アビ・アフメド首相が率いるエチオピア政府と、ティグレ人民解放戦線(TPLF)との間で内戦が始まりました。TPLF は長年、エチオピアの政治を支配してきた EPRDF の一翼を担っていましたが、アビ政権下ではその影響力が低下していました。

内戦はエチオピア国内に深刻な人道危機を引き起こし、多くの民間人が避難を余儀なくされました。国際社会からも強い懸念の声が上がっていますが、戦闘は依然として続いている状況です。

2018年の政権交代:評価と展望

2018年のエチオピアの政権交代は、希望と不安が交錯する複雑な出来事でした。アビ・アフメド首相は、改革を進め、国際社会からの評価も高かったものの、民族対立や内戦という深刻な課題を抱えています。

今後のエチオピアがどのような道を歩むかは、まだ不透明です。しかし、2018年の政権交代は、エチオピア社会における変化の必要性を浮き彫りにし、その後の政治・経済・社会の展開に大きな影響を与え続けています。

追加情報:

項目 内容
アビ・アフメド首相の就任 2018年4月2日
エチオピアとエリトリアの平和協定 2018年7月9日締結
ティグレ州の内戦開始 2020年11月4日

結論:

エチオピアの政権交代は、アフリカの歴史において重要な転換点となりました。アビ・アフメド首相は改革を進めましたが、民族対立や内戦といった課題も抱えています。今後のエチオピアがどのような道を歩むのか、注目が集まります。